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アスペルガー症候群とASDの違い 〜ASDの中にアスペルガーが含まれるが、いまはほぼ一緒〜

アスペルガー症候群の人は医者にASD(Autism Spectrum Disorder・自閉症スペクトラム障害)と診断されます。




アスペルガー症候群やアスペルガー障害という呼び名は2013年以降は医学的には正式な表現としては使われておらず、アスペルガー症候群の人はASD(自閉症スペクトラム障害)と診断されます。

1.アスペルガー症候群とASDの違い

アスペルガー症候群というのは2013年まで使われていた精神疾患の分類名で、ASDは2013年から使われている精神疾患の分類名であり、実際はほとんど同じように使われています。

日本の精神科・心療内科などの医療機関などで多く用いられている、アメリカ精神医学会作成の病名分類基準であるDSMという分類表があります。

このDSMという分類表が2013年にそれまでのDSM-Ⅳ-TRからDSM5に改訂された際、それまでのDSM-Ⅳ-TRの中での呼び名ではアスペルガー障害として分類されていた障害は、ASDという呼び名に変わりました。

この際、アスペルガー症候群だけでなく、それまでの呼び名での自閉症障害、特定不能の公汎性発達障害、小児期崩壊性障害などもASDにまとめて分類されました。


2.アスペルガー症候群からASDへと呼び名が変わった理由

2013年まで公式の場でアスペルガー症候群と呼ばれていた障害と、今は同じ自閉症スペクトラム障害に分類されている自閉症障害、特定不能の公汎性発達性障害などは共通点が多く、別の病気として分類するよりは「軽度から重度まで広がるスペクトラム(連続体)であると考えるべき」との考えから来ていて、今はこれが主流になっています。

DSMを作成しているアメリカ精神医学会の「それまでのアスペルガー症候群を自閉症障害などと併せて自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼んだ方がいい」という考えは、イギリス人の社会精神医学者であるローナ・ウイングの考え方がもとになっています。

ウイングが初めてこの考えを提唱したのは1980年代でした。

それまでは1943年にアメリカの精神科医であるレオン・カナーが見いだし、名付けた自閉症と、1944年にオーストリアの小児科医であるハンス・アスペルガーが発見したアスペルガー症候群は関連がない別のものとして捉えていました。

その上、カナーの自閉症に関する論文は英語で書かれていたので世界中に広まったのですが、ハンス・アスペルガーが書いたアスペルガー症候群(当時は自閉的精神病質と読んでいた)に関する論文はドイツ語で書かれていたので、アスペルガー症候群自体が世界的にずっと無名の存在でした。

そのため、自閉症の子どもに対するサポート体制づくりは進んで行きましたが、アスペルガー症候群についてはその存在自体が知られていなかったため、サポート体制が何もないままでした。

自閉症はコミュニケーションにも言語能力にも障害がありますが、アスペルガー症候群はコミュニケーションには障害がありますが、言語能力には障害がないという違いがあります。

ウイングは自閉症について研究しているうちに、ハンス・アスペルガーの書いた論文に出てくる「自閉的精神病質」について知り、これは自閉症と共通点が多いことを知ります。

そして、以下のように提唱します。

ウイングの提唱は、「1944年にハンス・アスペルガーが書いた論文に自閉的精神病質という障害が紹介されている。私はこれをアスペルガー症候群と呼ぶが、このアスペルガー症候群と自閉症には共通点が多い。自閉症の定義に当てはまらない子どもでも、アスペルガー症候群のような子どもいるため、自閉症は自閉症単体として定義するのではなく、アスペルガー症候群も含む軽度から重度まで連なるスペクトラム(連続体)としてとらえ、サポートしていく必要がある。」というものでした。

この提唱の大事なメッセージは最後のところの「自閉症は自閉症単体として定義するのではなく、アスペルガー症候群も含む軽度から重度まで連なるスペクトラム(連続体)としてとらえ、サポートしていく必要がある。」という点なのですが、英語圏にこの概念がほぼ初めて紹介されたことで、ウイングの言いたかった最後の部分のメッセージではなく、世界中の医療関係者の中でアスペルガー症候群という名称が先に一気に話題となります。

そして、1991年にウタ・フリスが発表した著書「自閉症とアスペルガー症候群」の中でアスペルガー症候群の概念を明確にまとめたことで、アスペルガー症候群は一般にまで一気に認知度を上げ、1995年にアメリカ精神医学会が「アスペルガー障害」という名称を診断基準への採用を決めるに至りました。

その後、自閉症とアスペルガー症候群の研究が進み、「そういえば、アスペルガー症候群を初めて紹介したウイングが『自閉症もアスペルガー症候群も連続体(スペクトラム)として捉えるべき』って言ってたよな。」という点も注目されるようになり、2013年になってアスペルガー症候群も自閉症障害もASD(自閉症スペクトラム障害)という診断名で呼ばれるに至りました。




3.アスペルガー症候群と広汎性発達障害の違い

アスペルガー症候群やASDと同じような意味合いで広汎性発達障害というものがあります。

ASDはアメリカ精神医学会がつけた名称で、広汎性発達障害というのはWHO(世界保健機関)がつけた名称です。

上述のウイングの「自閉症もアスペルガーも軽度から重度まで連なる連続体(スペクトラム)であり、自閉症だけでなくアスペルガーなども含め広くサポートすべき」という考え方を受けて、WHOもアスペルガー症候群という分類名を広汎性発達障害という分類名に変えており、もちろんこの中にはそれまでのアスペルガー症候群も自閉症も含まれます。

上述のようにアメリカ精神医学会はDSMという分類表を作っていますが、WHOはICDという病気や障害の分類表を作っていて、ICDの中では今ではアスペルガー症候群は広汎性発達障害の中に含まれています。

日本の精神疾患系の医療機関ではDSMもICDも使って病気を分類するのがメジャーで、日本の行政機関ではICDを使って病気を分類しています。

そのため、障害者年金や障害者手帳の申請書にはICDコードを記入する欄があり、アスペルガー症候群により障害者手帳を申請する場合は、広汎性発達障害のコード番号を記入する必要があります。

なお、1995年にアメリカ精神医学会とWHOが同時にアスペルガー症候群を診断基準に採用しましたが、その際にアメリカ精神医学会は「アスペルガー障害」という名称を、WHOは「アスペルガー症候群」という名称を採用したため、アメリカ精神医学会の分類でアスペルガー症候群を学んだ医者は「アスペルガー障害」と呼びます。

私が行った医師は「アスペルガー障害」と呼んでいたのですが、アスペである私は言葉そのものの意味をとらえようとするため、「私のこの言動は障害なのですか?それとも症候群なのですか?」と質問してみました。

その医師は「定義している機関の違いによって呼び名が違う」と言っていましたが、それには上述のような背景があったと言えます。

アスペルガーとASD(自閉症スペクトラム障害)についての考え方については以下の本が詳しいです。





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