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大人のアスペルガーを治療する3つの有効策 〜専門の医師の指導のもと、個々の特性と環境に合わせた治療が必要〜

アスペルガーをはじめとした発達障害は大人になってから発見されるという例が多くありますが、悪化する前に治療する方法はいくつかあります。




オーストリア人の医師であるハンス・アスペルガーが今のアスペルガー症候群にあたる「自閉的精神病質」について発表したのは1944年ですが、それよりも1年前にアメリカで発表された「自閉症」の裏に隠れてしまったため、アスペルガー症候群は長く知られないままでした。

英語圏でアスペルガー症候群が認知されたのは1981年にローナ・ウイングがハンス・アスペルガーの論文を引用し「アスペルガー症候群」と名付けた時であり、一般的にも知られるようになったのは1991年にウタ・フリスが著書「自閉症とアスペルガー症候群」を発表した時、医学的に広くその障害が認められたのは1994年にアメリカ精神医学会とWHOがアスペルガー症候群の基準を採用した時、日本でアスペルガー症候群の人を支援する体制が整いはじめたのは2006年に発達障害者支援法が思考された時と、いずれも最近です。

私が今の時代に幼少期を過ごしていれば、もしかしたら小学校時代くらいにはアスペルガー症候群(今の分類では自閉症スペクトラム障害)であることが判明したかもしれませんが、私が小学校に入学したのは1989年であり、ウタ・フリスの著書が発行される前なので、アスペルガー症候群というもの自体、日本では一般的に知られていなかったのはもちろん、医療従事者の間でもほとんど知られていなかった頃です。

私が大学を出て就職をしたのが2005年で、発達障害者支援法が施行されたのが2006年であることを考えると、私たち世代より上のアスペルガー症候群の人は大人になり、社会人になった後になって、ようやく自分がアスペルガー症候群であることに気づくという場合が多いです。

多くの場合は、就職したり家庭を持ったりした際になってから、ようやく何かがおかしいと感じたり、実際に問題を起こしたり、社会不適合な状態に陥り、医療機関での診断を経てアスペルガー症候群と診断されることがほとんどです。

幼少期にアスペルガー症候群が判明した場合には、認知行動療法や学校での環境づくりなどのサポート方法がありますが、大人になってからアスペルガーであることが判明した場合は、よほど大きな問題・合併症・自傷や暴力などの問題行動を起こしている場合を除いて、職場や家庭や公共の場の中で生活しながら治療を行うことが多くなります。

かといって、大人になってからのアスペルガーの治療方法に有効打がないわけではなく、以下に挙げられるような治療法が医学的に効果が認められるものとして挙げられています。

若い頃であれば療育プログラムを利用する

精神科医の岡田尊司氏は著書「アスペルガー症候群 」の中で、周囲が「青年期〜成人早期までは、まだある程度柔軟で、本人にとって望ましい環境に包まれ、根気よく働きかけを行うことで、徐々に変化が起きていく」と解説しています。

また、同著の中では上記の「青年期〜成人早期まで(中略)本人にとって望ましい環境」の一つとして、アスペルガー向けの特別の療育プログラムを受けさせることを挙げています。

ただし、言語と知能の遅れがなく発達障害の中でも軽度の障害とされるアスペルガーについて、療育プログラムを積極的に受けさせることについては専門家の間でも賛否が分かれているという点も指摘しています。

同著の内容を要約すると、

・アスペルガーは障害が軽度であるからこそ治療による改善効果が高いという説がある
・障害は軽度であるため普通教育で幅広い社会体験を積んで定型発達者から学ぶべきという説もある
・上記はどちらも一利あり、地域で治療体制がどれだけ整っているかなども加味して考えるべきである

という考え方が必要であるようです。

療育プログラムには、ある場面での会話や行動のスキルをロールプレイングで訓練する「ソーシャルスキルズトレーニング」、ソーシャルスキルズトレーニングのうち会話のみに絞ってトレーニングする「言語療法」、アスペルガーが起こした問題行動について記録をして問題行動の原因と再発防止策を一緒に考える「機能的行動分析」などがあります。


思春期より上のケースであれば一対一のカウンセリングも有効

上述の岡田尊司氏の著書の中では一対一のカウンセリングを通じて認知行動療法や支持的カウンセリングを行うことも重要であると指摘しています。

認知行動療法は、ある問題行動についてカウンセリングの中で一緒に振り返り、再発防止策を本人とカウンセラーで一緒に考えるというものですが、特にアスペルガーの人の「認知」をしっかり考えるという点を重視しています。

具体的にはある問題行動について「原因(きっかけ)→認知→反応→結果」という一連の行動について、振り返り、再発防止策を考えるのですが、「認知」について振り返る理由は、アスペルガーの人は同じことが起こっても見当違いな解釈をしてしまいがちであり、ときに被害的に、しばし否定的に、悪いことの兆候として受け止める傾向があるからです。

例えば、少し極端な例で言えば、相手が「最近悲しいことがあった」と言った際、定型発達の人は「何か悲しいことがあったから話を聞いてほしいのかな、と思った」という認知をするところを、アスペルガーの人は「また悲しいことがあったと言い出した。たぶん、アスペルガーである自分が悲しませることを言ったことについて今から責めたいのではないだろうか。なぜ自分ばかり責められるのだろうか。」と認知してしまうことがあるということです。

これはアスペルガーの言語能力が劣っているということでもなければ(むしろアスペルガーは言語能力自体は高いことが多い)、アスペルガーの人が被害妄想に取り付かれているのでもなく、常にストレスを貯めた状態で生活しているため、闘争・逃走本能が働きやすいという科学的に立証されている心のはたらきによっています。

つまり、定型発達の人が問題行動を振り返る場合、「原因(きっかけ)→反応→結果」の3点を振り返ればよいのですが、アスペルガーの人の問題行動を振り返る場合、「原因(きっかけ)→認知→反応→結果」の4つを振り返る必要があります。

もしこれを上記の例で考えた場合、アスペルガーの「認知」を加味せずにカウンセリングをすると

原因(きっかけ):相手が「最近悲しいことがあった」と言った

反応:私は「またその話か!」と怒鳴った

結果:激しい夫婦喧嘩になった

という、かなり理解不能で解決の糸口が見えなさそうな分析結果になってしまいます。

これを認知行動療法では

原因(きっかけ):相手が「最近悲しいことがあった」と言った

認知:私は「また悲しいことがあったと言い出した。たぶん、アスペルガーである自分が悲しませることを言ったことについて今から責めたいのではないだろうか。なぜ自分ばかり責められるのだろうか。」と感じた

反応:私は「またその話か!」と怒鳴った

結果:激しい夫婦喧嘩になった

というように分析することにより、解決策を導きやすくなります。

上記のような認知が入っていたという点を理解できれば、アスペルガーの人は「あのとき私を責めようとした訳ではなかったんだ。」と理解できますし、アスペルガー夫を持つ奥さんは「アスペルガーの人はつい自分が責められていると勘違いしやすい脳の働きをしているので、今度からは先に『今から言う話はあなたを責めるつもりはない』と言えばよいのだ。」と理解できます。

この行き違いは私たち夫婦の間でも非常に多く起こります。

特に私が酒を飲んでいる時に夫婦喧嘩になる場合、私が認知段階でかなり否定的な認知をしてしまうことが多くあり、これは気をつけていても完全には治せないと知らなかった時は、「妻が何を言っても私が怒り出す」という状況を劇的に改善する方法が思い浮かびませんでした。

アスペルガーの人は「自分が定型発達の人とかなり異なる認知をすることがある」という点には気づきにくいですし、定型発達の人は「アスペルガーの人は、私とはかなり異なる認知をすることがある」ということにはなかなか気づきにくいので、カウンセラーと一緒に認知行動療法という方法を使って分析することが有効だと言えるのです。

また、気持ちを爆発させる前に、カウンセリングで本人の気持ちや訴えを受け止め、気持ちを支えることで癇癪を起こす回数を減らそうとする支持的カウンセリングも有効だとされています。


症状に応じて薬物療法を行う

アスペルガーの人の治療薬として、今はコンサータかストラテラ、そのいずれも効果が足りない時にはエビリファイを使われることが多いですが、精神科医であり自閉症スペクトラム障害の権威である星野仁彦氏は著書「まさか発達障害だったなんて (PHP新書)」の中で、コンサータが劇的に効果的である点を指摘しています。

また、上記精神科医の岡田尊司氏によると、アスペルガー症候群に伴う様々な随伴症状や問題行動をやわらげるためにいくつかの薬物療法が役立てる点を指摘しています。

アスペルガーの人の気分変化や言動は、ひどい時にはうつ状態、躁うつ状態、統合失調症の幻覚妄想や興奮、てんかんに近いものになり、これが孤立や様々な問題行動を引き起こすことにつながるのですが、これらはうつ病、躁うつ病、統合失調症、てんかんのための薬物を少量使うなどにより軽減されることがわかっています。

具体的にはセロトニンの再取り込みを防ぐことで不安をやわらげるSSRI、ドーパミン受容体D2にドーパミンが結合することを防ぐことで過敏症や攻撃性などをやわらげる抗精神病薬、気分の波を減らす気分安定剤、攻撃性や自殺企図が問題になるケースで有効な抗うつ剤、強迫障害などの治療で使われる抗不安剤、不機嫌やパニック状態に有効なデパケン、などが有効であるとされています。

もちろんこれらの薬物の使用にあたっては本人の体質や薬の種類、服用する分量によって、逆に攻撃性やイライラが高まったり、吐き気、眠気、便秘、口の渇き、薬自体への依存症、ふらつき、ろれつがまわらないなどの副作用が出るものがあるので、医師の指導のもとの服用が必要なことは絶対条件だと言えます。


アスペルガーの治療の注意点

ただし、これらはいずれも「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害」というアスペルガー症候群の中核症状自体を治すものではなく、社会的に孤立したり、癇癪を起こしたり、合併症を併発したりといった現象面がなるべく出なくなるようにする治療法です。

アスペルガー症候群は生まれながらの脳の障害ですので、何かの治療を行っても定型発達の人と同じように考えたり、気持ちを察したり、空気を読んだり、共感したりというようにはなることはありません。

アスペルガー本人も周囲も、中核症状自体を治そうという不可能なことを目指すのではなく、「定型発達の人とは違った脳の働きをした人が問題行動を起こさないようにはたらきかける」という発想が治療の際には不可欠となるといえます。

また、アスペルガーの人の多くは周囲から「なんでそんなこともできないんだ!」「親の育て方が悪いのでは?」などと言われて来ており、治療に入る時点で不安に思っていることが多いため、治療の最初の段階で専門の医師による心理教育(アスペルガーの人の抱えている問題や環境や性格が問題なのではなく、もともと脳の発達がアンバランスであることが原因であると理解してもらうこと)も重要です。

また、上記の様々な治療を行う過程で、これも専門の医師による環境調整療法(パートナーに対して指導をしたり、物忘れをなくすコツを実践してもらったり、ストレス解消法を指導したり、食事指導をしたり、自助グループに入ることを推奨したりすること)を同時に受け続けることも重要です。

私がこれまで調べて来た中で、大人と子どものアスペルガーの治療法について最もわかりやすく、詳しく書かれていると私が思うのが上述で何カ所か紹介した精神科医の岡田尊司氏の著書「アスペルガー症候群 (幻冬舎新書 お 6-2)」です。

アスペルガー症候群の捉え方、脳の動き、周囲の対処法、大人のアスペルガーと子どものアスペルガーのそれぞれの対処法などが詳しく紹介されています。










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