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アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラムの兄弟での一致率は高い 〜「アスペ遺伝子」があるわけではないが、その要因の8割以上は遺伝的影響〜

兄弟のうち片方がアスペルガーである場合、もう片方もアスペルガーであることが多く、これは遺伝的影響と環境的影響の両方が考えられると指摘されています。




アスペルガーは遺伝的影響と環境的影響の両方を持つため、兄弟の一致率が高い

兄弟のいる子どもがアスペルガーである場合、その兄や弟もアスペルガーである確率を「一致率」と言います。

アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラム障害の兄弟での一致率は高いことが知られています。

精神科医の岡田尊司氏の著書「アスペルガー症候群」では、1960年代頃から発達してきた生物学的な精神医学の過程で行われた遺伝的研究において、一般事項における自閉症(当時の呼称・・・今でいう自閉症スペクトラム障害)の頻度が(当時)0.6%だったのに対して、第一子(兄弟の兄など)に自閉症(当時)の子どもが生まれたカップルで第二子(兄弟の弟など)に自閉症の子どもが生まれる頻度は、3〜5%と高いことが指摘されています。

この研究結果から、アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラム障害には遺伝的影響、及び環境の影響があると考えられています。


アスペルガーの兄弟での一致率が高い原因としては、特に遺伝的影響が大きい

そして、今では様々な研究結果から、兄弟ともにアスペルガーになる原因について、アスペルガーを含む自閉症スペクトラム障害の要因の研究から「妊娠期や出産直後の環境の影響」よりも、「遺伝的影響」の方がずっと大きいこともわかっています。

橘玲氏の著書「言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)」では、身長、体重、学習能力、病症、障害などの特徴の要因について「遺伝の影響」「家庭環境の影響」「家庭以外の環境の影響」がそれぞれどれくらいあるのかを明らかにする解説をしています。

例えば、生まれた直後に離ればなれになり全く異なった環境で育った一卵性双生児の兄弟姉妹に際立った共通点が見られれば、それは遺伝的影響が強いと言えます。

また、ほぼ同じタイミングで生まれ、家庭でも一緒に過ごしているが、外では違う友達と遊んだり違う習い事をしたりしていた一卵性・二卵性の双生児の兄弟姉妹に共通点が見られれば、それは遺伝的影響と家庭環境の影響が考えられます。

そして、生まれた直後に離ればなれになった一卵性双生児には共通点が見られないが、一緒の家庭で育った一卵性双生児には共通点があるという特徴は家庭環境の影響が強いと判断できます。

さらに生まれたタイミングと家庭環境を共有しているのに共通点が見られない特徴については、家庭以外の環境の影響が大きいと言えます。


こうした要素の中で、「家庭環境の影響」を受けやすい特徴として、同著では言語的知能(影響率58%:祖先が英語を話していて、今も英語圏に住んでいても、親が日本語を話していたら子どもたち兄弟も日本語を話すなどの子どもの言語的知能の特徴の58%は家庭環境による影響で説明できる)、喫煙(影響率24〜25%:祖先に喫煙者がいなくても、友達がタバコを吸っていなくても、親が喫煙をしていたら子どもたち兄弟が喫煙をするなどの子どもの喫煙の特徴の24〜25%は家庭環境による影響で説明できる)などを挙げています。

また、「家庭以外の環境の影響」を受けやすい特徴として、自尊感情(69%:祖先が自信満々な人が多く、家庭でも自信付けされていたとしても、学校でいじめなどにあったら自尊感情が欠如するなどの子どもたち兄弟の自尊感情の特徴の69%は家庭以外の環境の影響で説明できる)、新奇性追求(66%:祖先には保守的な人が多く、家庭でも保守的に考えるよう教えられたとしても、友達が新しく未知なものを好むなどであれば新奇性の追求が見られるなどの子どもたち兄弟の新奇性追求度の66%は家庭以外の環境の影響で説明できる)とされています。

これらに対して、アスペルガー症候群を含む自閉症スペクトラム障害については、男児の場合はその原因のうち82%が遺伝的影響で、18%が家庭以外の環境の影響で説明でき、女児の場合はその原因のうち87%が遺伝的影響で、13%が家庭以外の環境の影響で説明できると紹介されています。

これらは、兄弟でともにアスペルガーの特徴が出る原因について、遺伝的影響がいかに大きいかとともに、家庭環境による影響がいかに関係ないかを示しています。




「アスペルガー遺伝子」があるのではなく、様々な特徴の遺伝子が組み合わさって症状が遺伝する多因子遺伝

アスペルガー症候群になる要因には遺伝的影響が大きいために兄弟の双方でアスペルガー症候群を発症することが多いのですが、これは「アスペルガーな遺伝子」が存在するというものではないとされています。

上述の岡田尊司氏の著書「アスペルガー症候群」では、この「いくつもの遺伝子が組み合わさることによって障害が起きる」ということを「多因子遺伝」と呼んでます。

その証拠の一つとして、アスペルガー症候群の人は社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害という三つ組みの障害があるという根本的な共通点は全ての人で共通ですが、具体的な特徴は人によって全て異なります。

同じアスペルガーの兄弟で、同じくコミュニケーションが苦手でも積極的に話しかける人と閉じこもる人、視覚・空間能力を活かして画家として成功する人と手先の不器用さから絵が全く下手な人、同じ言語能力に長けていても無口で小説を書くのが得意な人と文章は下手だけど演説は得意な人など、同じアスペルガーでも特徴は全ての人で異なり、もちろん多くの場合、兄弟でも異なります。

遺伝的な影響が大きいというのは明確である以上、もし「アスペルガーの遺伝子」があるのだとすれば(特に兄弟であれば)もっと共通した特徴に集約されるはずなのですが、具体的特徴となるとこれだけ異なるというのは様々な遺伝子が掛け合わさった上で色々な特徴を持ったアスペルガー症候群が現れると考える方が自然です。


また、昔はそれぞれ別のものとされていた高機能自閉症も、低機能自閉症も、アスペルガー症候群も、特定不能の公汎性発達障害も、今では「全てが重なり合って連なる連続体(スペクトラム)と捉えるべきであり、公汎な範囲に渡ってサポートがなされるべき」という考え方が有力説です。

これらはそれぞれは違う特徴を持つものの共通した療法が行われる部分が多く、診断書や公的機関へ提出する文書などでは全てひとくくりにした「自閉症スペクトラム障害」や「公汎性発達障害」という言葉が使われたりします。

自閉症スペクトラム障害の人の中には言語能力に遅れのないアスペルガーも、言語能力に遅れのある自閉症も、知能に遅れのない高機能自閉症も、知能に遅れがある低機能自閉症も含まれるのですが、これらは根本的な部分ではかなりの共通点を持っているため、このように解釈して対処されています。

同じ兄弟で、同じくアスペルガー症候群でも片方はADHDを併発していて、もう片方は併発していなかったり、同じ自閉症スペクトラム障害でも片方は高機能自閉症で、もう片方はアスペルガー症候群だったりということも多いです。

これも自閉症スペクトラム障害の中で個々にかなりの特徴の差があることから「自閉症スペクトラム障害」の遺伝子があるわけではなく、同時に他の自閉症スペクトラム障害と比べてアスペルガーのみ特別な遺伝子があるとも考えにくいと言えます。

つまり、これらの根拠により、言語的能力、共感性、社会的知能、固執性、視覚・空間能力などに関わる遺伝子が複数存在していて、その組み合わせによって症状のバラツキや重症度の違いが生まれると判断できるとしています。

例えば、祖先から受け継いだ遺伝子により、兄弟ともに共感性、社会的知能が低く、視覚・空間能力と知能指数が高かったとしても、兄は言語的能力が高い遺伝子を持ち、弟は言語的能力が低い遺伝子を持てば、兄はアスペルガー症候群、弟は高機能自閉症となると言えます。





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